チャボは奇声をあげながら
家の中を走り回る
トイレのしつけなんか出来るわけもなく
そのつど拭いて回った
ある日、卵を産んだ
メスだった事がそこで判明した
産むのは決まってこたつ布団の下
確認してから足を入れないと
えらい事になる
卵は好きだが、家の中で買っている
チャボの卵を食べるのは
なんだか変な感じなので
卵は弟とかが食べていた
餌は〝米〟
アニメで見たように
コメを蒔いたライン通りに歩いてくる
餌をやるときだけ
こちらに突き進んでくる様子は
可愛く感じた
なんだかんだ言っても
初めて家で飼った生き物だ
近づくと逃げるが
やっぱり可愛かった
ある朝、夢を見た
実はチャボは宇宙からきていて
今日、星に帰るというのだ
丘の上に大きな宇宙船がピカピカ光って
乗り込んでいくチャボ
さよならと大きな声で
『キェーッ!』
と、鳴いたところで目が覚めた
起きてチャボを探すと
店の裏口にチャボの羽がたくさん落ちていた
あの鳴き声は夢じゃなかった
『忍び込んだ野良猫にやられたんだろう』
と、祖父に言われたが
(きっと宇宙に帰ったんだ)
と、一生懸命思い込もうとしたのを
憶えてる
初めての生き物との別れだった